2007.12.06
団地模型化計画(51C型) その4
団地の模型化、いよいよ組み立てである。
スチレンボード製の工作物の組み立ては、「スチのり」を使用する事が推奨されている。
これは、スチレンボードが紙と発泡スチロールの複合材料のため、どちらにも影響する事なく接着できる接着剤を専用で作ったという事だと思う。
しかし、スチのり以外では本当にだめなのか、検討してみる。
まず、どうしてもダメな接着剤は、プラモデル用。これはプラスチックを溶かしてくっつける方法で接着するため、プラモデルによく使われているスチロール樹脂等の硬質プラスチックであれば問題がないのだが、発泡タイプのスチロール樹脂では、発泡セルの間に接着剤がしみ込んで溶かし続けてしまうため、使用できない。
同じ理由で、溶剤の入ったゴム系接着剤も使用は控えた方が良い。
スチレンボードは、発泡スチロールより紙の部分を接着すると考えた方が良さそうだ。
そこで、今回選んだのがこれ。

模型の手前に見えるのがおなじみの木工用接着剤。
今回、これを使用した。
鉄道模型の世界では、ペーパー製の模型工作も古くからある模型技法の一つだ。
そして、この技法では木工用接着剤を使用する事が良く知られている。
また、この木工用接着剤は、主成分が酢酸ビニルエマルション、有機溶剤を使用しないタイプで、発泡スチロール部分にも影響は与えないと判断。
エマルションタイプの接着剤には低温時の接着性を良くする為に可塑剤が添加されているものがあり、この可塑剤が発泡スチロールを侵す恐れもあったが、今回使用した部分では、トラブルは発生しなかった。
そして、最近のペーパー製鉄道模型技法でよく使われるもう一つの接着剤・・・

こちらもおなじみの瞬間接着剤。木工用。
ペーパー製の鉄道模型では、紙に瞬間接着剤をしみ込ませて強度を保つ技法が最近知られてきた。
特に、屋根まで紙で作るペーパールーフ構造の車両の場合、屋根のカーブの裏側にカッターで筋を入れて曲げた後に、瞬間接着剤をしみ込ませると、筋から接着剤が良くしみ込んで強度が出るのだそうだ。
私も、1/80スケールのバスを自作したときにこの技法を使った。
材料は異なるが、同じように樹脂を繊維にしみ込ませて強度を出したプラスチックが、FRPと呼ばれる強化プラスチック。こちらはガラス繊維を樹脂で含浸したものだ。
そして、今回の団地ではこの瞬間接着剤は隙間を埋めるパテの役割も期待した。
普通のプラモデル用のパテを使うと、発泡スチロール部分を侵してしまう可能性があるため、使用できないと判断したから。

上から見た構造。まだ途中だが、だんだん形が見えてきた。
床板を作って治具にすると、直角が正確に出せそうだ。

階段室側から。こちらの面は、まだ壁ができていないので、こんな状態。
まるで取り壊し中の団地住棟のようだ。
・・・ここで、階段室の窓の位置がおかしい事に気づいた。踊り場は階と階の間に来るはずなのだが、かなり高い位置にある。
急遽、階段室の壁の部分の図面を引き直す事に・・・
つづく。